はるさめ
「はるさめ」はなぜ「春雨」と表すのか?歴史から名前の意味までを徹底解説
2022.11.08
はるさめとは、春に静かに降る雨のことを指しながら、一方で、サラダや和物によく使われる食品でもあります。そして、中国や韓国でもなじみの深い食材としてさまざまな料理に使われているのもご存知ですか?
この記事では、はるさめの起源と歴史、おすすめのレシピまで紹介していきます。
目次
- はるさめの歴史について
- はるさめが「春の雨」と表されるのはなぜ?
- はるさめの種類・製造方法
- 中国や韓国でのはるさめの呼び方
- はるさめ料理がおすすめ!美味しい簡単レシピも紹介
- まとめ
1.はるさめの歴史について
はるさめは、西暦1000年前後の中国で作られた歴史ある食品です。中国に現存する最古の農業技術書「斉民要術(せいみんようじゅつ)」には、「粉餅(フエンピン)」の名前ではるさめが作られていたと記されています。当時は、緑豆の粉を用いた製法が取り入れられていました。
日本にはるさめが伝来したのは、鎌倉時代になります。禅宗の精進料理の食材として使用されていました。日本で緑豆は、豆もやしとして親しまれています。昔は日本でも栽培されていましたが、農林水産省の調査によると、現在国産の緑豆はありません。そのため、はるさめは昭和初期まで香港や朝鮮から輸入されていました。
緑豆が日本の記録に記されるようになったのは、江戸時代からです。当時は、文豆(ぶんどう)や八重成(やえなり)と呼ばれ、1643年の「料理物語」に載っている文豆が最も古いとされています。
鎌倉時代からすでに伝わっていたはるさめですが、日本に定着するには長い時間がかかったことが分かります。
2.はるさめが「春の雨」と表されるのはなぜ?
はるさめは、「春の雨」と表現されるほど情緒的な意味を持ってます。江戸時代から幕末にかけて、天候の春雨を季語に含んだ句や歌が流行するほどでした。はるさめは、この意味の通り、透き通って細い姿から春の雨の雨筋を連想させると言われ名付けられました。
この名前が付けられたのは、比較的最近である1937年の昭和12年になります。日本で初めて国産の春雨を製造した森井食品が、製造過程にあるじょうろ状の穴から押し出される春雨を見て、天候の春雨のようだと例えたのがきっかけです。
3.はるさめの種類・製造方法
- はるさめの種類
はるさめは多くのジャンルの料理に使用されています。大きく分けて3つの種類があり、種類によって原料も異なります。
①緑豆はるさめ…緑豆やえんどう豆のでんぷんを原料にした主に中国産のはるさめ
②韓国はるさめ…さつまいものでんぷんを原料にした韓国産のはるさめ
③国産はるさめ…国産のじゃがいもやさつまいものでんぷんを混ぜた国産のはるさめ
中国で製造されている緑豆はるさめは光沢があり、細いけど煮崩れしにくいです。日本で製造されている国産はるさめは、中国産に比べると太く煮崩れしやすいことから、鍋物や煮物に向いています。このように原料によって、それぞれの特徴があるのです。
- はるさめの製造方法
はるさめの製造方法は、冷凍製法と非冷凍製法に分けられます。日本・韓国・中国・台湾・インドネシア・タイと、世界的には冷凍製法が一般的です。
日本の冷凍はるさめの特徴は、麺自体を完全に凍結させることで、麺線の中の水分を凍らせます。そして、解凍した際に麺線の中に小さな空洞ができ、この空洞に料理の味がよく染み込むように仕上げられています。
冷凍法の製造工程にもいくつか方法がありますが、基本的な工程がこちらです。
1.当日の気温や天候を考慮して、職人が水の分量や水温を調整してでん粉を混ぜる
2.こねあがったでん粉を小さい穴の開いた容器に流し入れ、麺状に落ちてくるでん粉生地を熱湯で一気に茹でる
3.茹で上がった麺を水でしめて、一定の長さに揃え、管(くだ)と呼ばれる棒にかけていく
4.管についたはるさめを冷凍庫で約2日間かけて-20度までゆっくり冷凍する
5.冷凍したはるさめを水につけて解凍し、でん粉のヌメリを落とす
6.解凍したはるさめをほぐしながら、天日干しにして乾燥させる
7.乾燥したはるさめを一定の長さにカットして、包装出荷する
上記のような工程をふまえ、製造から製品になるまで約1週間ほどかかります。これだけの手間をかけていることから、企業の努力や工夫によって質の高いはるさめが作られています。
4.中国や韓国でのはるさめの呼び方
はるさめは中国が発祥の食品ですが、日本以外でどのように呼ばれているかご存知ですか?
中国では、太いものを「粉条」(フェンティヤオ)・細いものを「粉絲」(フェンスー)・円状のものを「粉皮」(ファンペイ)と呼びます。
「粉絲」(フェンスー)は、はるさめという意味の他にも「ファン」の意味も持っています。英語の「fan」は「粉絲」と発音が似ていることから、「ファン」の意味を持つようになったと言われています。
韓国では、「탄면」(タンミョン)と呼びます。タンミョンは、日本のはるさめよりも、太く長い形状をしています。代表的なはるさめ料理と言えば、チャプチェです。肉や野菜と一緒に甘辛く炒めた韓国の家庭料理になります。他にもプルコギに入れたり、鍋に入れたりします。
はるさめは、各国それぞれで固有の名称を持っています。アジア諸国に根付いている食品であることがよく分かりますね。
5.はるさめ料理がおすすめ!美味しい簡単レシピも紹介
はるさめの成分は、ほとんどが澱粉でできているので、体に悪いものが混ざっておらずヘルシーで健康にも良いです。脂肪分もあまり含まれていないので、消化が良く体調が悪いときにもオススメになります。普段の食事からはるさめを取り入れていただくのはもちろんですが、
- あまり食欲がないとき
- 食事制限をしているとき
- 受験期や塾帰り、夜遅くまで仕事をするときの夜食として
このようなシーンでも、はるさめを美味しく食べていただけたらと思います。美味しく簡単なはるさめレシピをご紹介するので、ぜひご家庭で作ってみてください。
⑴戻さないから簡単!麻婆春雨
https://recipe.suntory.co.jp/recipe/005008
【材料(2人分)】
- 乾燥はるさめ 50g
- 豚ミンチ肉 80g
- にんじん 1/4本
- しいたけ 2枚
- にんにく(みじん切り) 小さじ1
- しょうが(みじん切り) 小さじ1
- 豆板醤 小さじ1/2
- サラダ油 小さじ2
- 刻みネギ 適量
(A)
- 水 350ml
- 鶏ガラスープの素 小さじ2
- 白ネギ(みじん切り) 大さじ3
- 濃口しょうゆ 大さじ1強
- 酒 大さじ2
- オイスターソース 大さじ1
- 砂糖 小さじ1
【作り方】
①にんじんは千切りに、しいたけは薄切りにする。
②フライパンにサラダ油、にんにく、しょうが、豆板醤を入れて火にかけ、香りが立ったら豚ミンチ肉、1)を順に入れて炒める。
③豚肉の色が変わったら、〔A〕と春雨を戻さず加えて煮込む。煮汁がほとんどなくなったら火を止めて、好みでごま油や刻みねぎを振る。
⑵豆苗とえのきの春雨スープ
https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1790011147/
【材料(2〜3人分)】
- 豆苗 1/2パック
- えのき茸 1/2パック
- ハーフベーコン 2枚
- 春雨(カットタイプ) 30g
- 水 3カップ
- 顆粒鶏がらスープ 小さじ1
- しょう油 小さじ1
- しょうが(チューブ) 3〜4cm
- ゴマ油 小さじ1/2
- 塩コショー 少々
- 白むきゴマ 少々
【作り方】
①豆苗は根元を切り落とし2cm幅に、えのきは石づきを切り落とし2cm幅に、ベーコンは5ミリ幅に切ります。
②鍋に水を沸かし、沸いたら豆苗・えのき・ベーコンを加えて中火で茹でます。
③1分ほど茹でて豆苗のカサが減ったら春雨を加えます。3分ほど茹でたら鶏がらスープ・しょう油・しょうが・ゴマ油・塩コショウを加えて調味します。
④お皿に取り分け、白むきゴマを少量ふったら出来上がりです♪
⑶☆中華 春雨サラダ☆
https://cookpad.com/recipe/1431110
【材料】
- 春雨 40〜50g
- きゅうり 1本
- 卵 1個
- ハム 4枚
- 醤油 大さじ1と1/2
- 酢 大さじ1と1/2
- 砂糖 大さじ1と1/2
- ごま油 大さじ1と1/2
- 鶏ガラスープ(顆粒) 小さじ1
- 白いりごま 適量
【作り方】
①きゅうり、ハム、薄焼き卵は千切りに♪
②春雨は表示通りにもどし、食べやすい長さにカットする♪
③●の調味料を合わせておく♪
④①②③をボウルに入れて♪
⑤③の調味料を加えて♪
⑥白ごまも適量加えてよく混ぜ合わせ、冷蔵庫で30分。味をなじませて♪
⑦出来上がり*
⑷ヘルシー☆白菜と春雨たっぷり豚肉炒め
https://cookpad.com/recipe/1431110
【材料(4〜6人分)】
- 白菜 1/4個(約600g)
- 豚バラ薄切り肉(豚こま肉でもok) 180〜200g
- (酒・しょうゆ)下味用 各小さじ2
- 春雨 100g
- サラダ油 適量
- 砂糖 大さじ1
- 酒 大さじ1
- しょうゆ 大さじ2
- オイスターソース 大さじ2
- 鶏ガラスープの素 小さじ1/2
- 水 大さじ2
- 塩・コショウ 少々
【作り方】
①白菜は1cm幅に、肉は食べやすい大きさに切り、肉に酒と醤油で下味をつける。
②春雨は水で少し芯が残る状態まで戻し、キッチンバサミで食べやすい長さに切る。
③強火で油を熱して、肉を炒めます。肉の色が変わったら白菜を加えて、芯の部分が少し透き通るぐらいまで炒めます。
④春雨と●の調味料を全て加えて、春雨が汁気を半分ぐらい吸うまで炒めたら出来上がり!
⑸簡単なの本格的♪チャプチェ
【材料(4人分)】
韓国春雨 100g
- しょうゆ 大さじ3
- 砂糖 大さじ1
- みりん 大さじ2
- 塩 少々
牛肉 100g
- しょうゆ 大さじ1
- 砂糖 小さじ2
- すりおろしにんにく 1片
- ごま油 小さじ1
- 炒りごま 小さじ1
エリンギ 2本
ニラ 1把
玉ねぎ 1/2個
人参 1/2本
- ごま油 各小さじ1
- 塩 各少々
【作り方】
①春雨は熱湯で5〜6分ゆで、適当な長さに切る。牛肉は細く切り、調味料で和えておく。
②野菜は千切りにして、ごま油と塩でそれぞれ炒め、ボウルに入れていく。※注意※絶対に一緒に炒めないこと
③①の牛肉を炒め、ボウルに入れる。
④春雨用のタレをフライパンに入れて火にかけ、春雨を加えて汁気がなくなるまで炒りつける。ボウルに入れ、全部を混ぜ出来上がり。
6.まとめ
本記事では、はるさめの歴史から名前の由来などを解説しました。はるさめは近くのスーパーで購入したり、インスタント食品でも手軽に食べたりできます。そして、ヘルシーで健康に良いので子供から大人まで楽しめますね。ぜひ、これからの食生活に積極的にはるさめを取り入れてみてください。