そば

「新そば」を味わえる季節はいつ?旬の時期に美味しく楽しく食べよう

2022.12.20

そばにも旬の時期があることをご存知ですか?そば好きな人は、「新そば」を求めて地方をを訪れたり、行きつけのそば屋を尋ねたりするほどです。

そばは一年中食べられる麺類ですが、「新そば」は味も香りも豊かで、食べられる期間が限られています。今回はそんな「新そば」について、食べる時期や特徴などを解説します。

目次

  1. 新そばとは
  2. 新そばは年に2回食べるもの?
  3. 新そばの特徴
  4. 新そばの有名な産地
  5. 季節ごとに新そばを味わおう!
  6. 新そばを楽しむ「粋」な食べ方とは?
  7. まとめ

1.新そばとは

新そばとは、その年に収穫したそばを意味します。一般的には、10月〜11月にかけて収穫されており、収穫されてから1ヶ月〜2ヶ月ほどで提供されています。

つまり、新そばは秋に獲れたそばの実や、それを粉にして蕎麦切り(麺)にしたものです。そばの実を乾燥させてから、10月〜12月の間でしか食べることができないので、新そばを目当てに旅行をする人がいるのも分かりますね。

2.新そばは年に2回食べるもの?

実は、新そばの季節は年に2回あります。収穫時期が10月〜11月であるように、一つの季節は秋です。秋に獲れる新そばは、「秋新」とも呼ばれています。

なぜ秋に新そばが食べられるかというと、そばは昼と夜の寒暖差が10℃以上あり、最高気温が25℃以下といった環境が栽培に適しているからです。7〜8月に種をまいて、10〜12月に収穫すれば、この条件に合いやすいです。

年越しそばもこの収穫とタイミングがぴったりなので、旬を味わうためのイベントなのかもしれません。

そして、もう一つの季節は夏になります。そばは成長速度が非常に早い植物なので、種まきをしてから約3ヶ月ほどで実が成ります。そのため、年に3回収穫できると言われています。

夏に獲れた新そばは、「夏新」とも呼ばれています。4〜6月に種をまいて、6〜8月に収穫されます。そばの品種の中でも、日長反応がよく夏向きの品種が古くからあるので、それらが夏の新そばに使われていました。

昔から冷涼地で育ててはいましたが、秋そばと比較するとあっさりした味わいであるため、質が落ちると避けられていました。ですが、今となっては品種改良が進んだおかげで味も良くなり、暑い時期に食べるのに人気となっています。

しかし、なぜ新そばはここまで定着したのでしょうか。それは、新そばの1年の収穫回数が多いことと繋がっています。

昔、そばは食料不足のときに重宝された貴重な食べ物でした。収穫回数が多いだけでなく、寒さが厳しい地域ややせた土地でも栽培することができたのです。当時は、物流がスムーズでなかったので、このような場所でも安定して獲れる食料は、住民の食生活を支えてくれました。

一般的に、食べ物の旬は年に1度だけですが、そばは年に2度も旬があるので珍しい食べ物ですね。

3.新そばの特徴

「新」がつく季節の食べ物はたくさんあります。新玉ねぎ、新じゃがいも、新米などなど。農業や化学の技術が発展しても、「新」がつく食べ物はいまだに食べられる季節が限られています。それぞれに美味しい魅力があり、もちろん新そばも美味しい魅力がある季節限定の食べ物です。

新そばの味の特徴は、きれいな緑の色、豊かな香り、爽快な喉越しです。そばの実の一個一個に、新そばならではの香りと味が閉じ込められています。

通常、そばは時間が経つと風味がどんどん落ちてしまい、劣化していきます。ですが新そばは、収穫してから短期間で麺に加工して食べるのでその心配がありません。一番美味しい状態でそばを食べることができます。

つるっとした喉越しを楽しむのも粋ですが、ゆっくり時間をかけて味わうのも良いでしょう。

4.新そばの有名な産地

・秋そばの名産地

日本各地で栽培されていますが、比較的中部から北の地方に名産地が多いです。秋そばは、江戸時代の頃から愛されており、高い香りと深い味わいが楽しめることから食通たちが秋そばを求めたと言われています。

秋蕎麦で最も有名なのが、茨城の「常陸秋そば」です。そして、小粒ながら粘りと甘味がしっかり感じられる福井の在来種も名高いです。日本三大蕎麦「戸隠そば」と「わんこそば」がある長野や岩手、島根の「出雲そば」なども広く認知されている産地です。

・夏そばの名産地

湿気と高温に弱いので、冷涼地で収穫されることがほとんどです。そばを全国で最も多く栽培する北海道は、夏そばの名産地として有名です。続いて、長野や福井でも盛んに育てられています。

秋そばとはまた違い、清涼感や淡くほのかな香りを楽しめるので、まさに夏に食べるには相応しい蕎麦です。

5.季節ごとに新そばを味わおう!

ここからは、新そばをもっと楽しんでもらうために日本各地の名所を紹介します。

1.福井県 「越前そば」

越前そばは越前おろしそばとも言われ、主に福井県嶺北地方で食べられています。

強力粉をつなぎとしたそばに、大根おろしが入った出汁つゆをかけたり、大根のしぼり汁に生醤油や出汁を合わせたつゆにそばをつけながら食べたりなど、必ず大根おろしを使ってい流のが特徴です。

大根おろし以外には、ねぎや鰹節、刻み海苔などのシンプルな薬味です。夏そばは7月〜8月、秋そばは10月〜11月に食べることができます。

2.長野県 「戸隠そば」

戸隠そばは、一般に長野県長野市戸隠のそばを指します。

戸隠ではかつて山岳信仰が栄えており、多くの山伏が集まっていました。携行食料として、そばが戸隠にはいってきたと伝えられています。当時のそばは現在のような形ではなく、そばがきやそば餅のようなものであったと予想されています。

薬味には、信州の伝統野菜に認定されている地元の「戸隠大根」と呼ばれる辛味大根を使っています。その他にも、そばの甘皮をひかない挽きぐるみのそば粉を使用していたり、ざるで食べる場合も海苔がかけられなかったりと多くの特徴を持っています。

夏そば7月下旬〜、秋そばは10月下旬〜食べることができます。

3.岩手県 「わんこそば」

わんこそばは、岩手県の花巻や盛岡に伝わるそばです。

熱いそばつゆと一緒に一口大のそばを客のお椀に入れ、食べ終わる度に給仕がそのお椀に次々とそばを入れ続け、客が満腹になりふたを閉めるまで食べ続けるというスタイルが基本となっています。

薬味には、ねぎや鰹節、海苔、大根おろしなどが一般的です。お店によっては、とろろやマグロ、天ぷらやイカの塩辛など多数のバリエーションがあります。

夏そば7月〜、秋そばは10月〜食べることができます。

4.島根県 「出雲そば」

出雲そばは、島根県の出雲地方で広く食べられている郷土料理の一つです。

中でも有名なのは、割子そばです。三段重ねになった丸い漆器に、茹でたそばを盛り付けて提供しています。薬味と出し汁は別の容器がついてきます。この形式になった理由は、江戸時代に松江の趣味人たちがそばを野外で食べるために弁当箱として用いていたからだと言われています。

食べ方も特徴的で、他の地方ではそばを出汁の中に入れますが、出汁自体を器に入れ、その上に青ねぎと海苔、大根おろし、そして削り節などの薬味をのせて食べます。

三段重ねの場合は、一番上の割子に出汁を入れてそばを食し、食べ終わったら残った出汁を二段目にかけて食す、という風に出汁を使い回しながら上から順番に食べ進めます。

夏そば8月下旬〜、秋そばは11月〜12月に食べることができます。

6.新そばを楽しむ「粋」な食べ方とは?

新そばがそば屋に出始めたら、自宅でも美味しいそばを楽しみたいと思う人もいるのではないでしょうか。

そばを食べる際には、必ず出汁つゆや薬味と組み合わせます。新そばを食べるのであれば、自分好みの「出汁つゆ」を作ってみてはいかがでしょうか。

そばの楽しみ方は十人十色ですが、「粋」な食べ方を見つける参考にしてみてください。

■出汁のレシピ

【材料(2人前)】

  • 混合削り節 25g
  • 出汁昆布 20g
  • 水 800cc

【作り方】

1. 出汁昆布を水に入れ、沸騰直前まで温める。

2. 沸騰の直前になったら、出汁昆布を取り出す。

3. 臭みを取るため、1度沸騰させる。

4. 混合削り節を静かに入れ、弱火で20分煮だす。

(このとき、混ぜたり絞ったりすると、臭みや苦みが出てくるので、触らないことがポイントです)

5. ザルやキッチンペーパーで、こしながら出汁を取って完成。

■かえしのレシピ

【材料(2人前)】

  • 濃口しょうゆ 60g
  • 砂糖 12g
  • 本みりん 12g

【作り方】

1. 濃口しょうゆを鍋に入れ、沸騰しない程度に温める。

2. 砂糖を入れて、ゆっくりとかき混ぜて溶かす。

3. 砂糖が溶けたら、本みりんを入れて、ゆっくりかき混ぜる。

4. 5分ほど加熱する。

5. 灰汁をとって、完成。

(冷蔵庫で1晩寝かせることで、味がまろやかになり、さらにおいしくなります)

かけ蕎麦を作る場合のつゆは「出汁8に対して、かえし1」がおすすめ。ざる蕎麦などの、冷たい蕎麦用のつゆは「出汁3に対して、かえし1」と、やや濃い目にすることで最後まで薄まらずに食べられます。

https://www.homes.co.jp/life/cl-kurashi/cm-gourmet/23085/

続けて、そばを食べるときに一緒に付け合わせるオススメの薬味も紹介します。定番のものから、あまり耳にしないものまで、手に入りやすい食材が中心なので、ぜひ試してみてください。

1.わさび

鼻から抜けるツンとした香りが癖になるわさびですが、つゆに溶かして食べていませんか?実は、そばに直接つけて食べると更にわさびの爽やかさと蕎麦の風味を感じることができます。冷たい蕎麦には欠かせない、王道の薬味です。

2.味噌(焼き味噌)

あまり聞き慣れない焼き味噌ですが、江戸時代の書物に記されるほど、当時は多くの人が薬味に使用していました。

味噌に含まれているサポニンには、血糖値の上昇抑制や脂質代謝の向上、肥満予防、ダイエットなどに効果があるといわれています。

3.塩

新そばを食べるときに一番オススメしたい薬味が、塩です。意外かもしれませんが、塩には味を濃くさせる働きがあり、新そばにかけて食べればより風味や香りを楽しむことができます。ぜひ、塩だけをつけて食べることにチャレンジしてみてください。

7.まとめ

いかがでしたか。この記事では、新そばについて食べる時期や特徴、そしてオススメの食べ方など幅広く解説しました。

一年で2度の旬を楽しめるので、食べ比べをしてみるのも面白いです。ぜひ、近くのそば屋や旅先のお店で新そばを見つけた際には、召し上がってみてください。