ラーメン

インスタント麺の発祥は日本だった!?知る人ぞ知るインスタント麺の歴史と宇宙へとつながるこれからの未来

2022.12.01

日本だけでなく世界中で愛されているインスタント麺。

現代では数えきれないほど味や種類もあり、忙しい働く世代だけに限らず、子どもからシニア世代までさまざまな年齢層から人気があります。今回はそんなインスタント麺のルーツやこれからについてしっかりと解説していきます。

普段あまりインスタント食品を食べない方もぜひご覧ください。


【目次】

  1. そもそもインスタント麺の定義って?
  2. 初代インスタントラーメンはみんなが知ってる『あの商品』
  3. 初代インスタントラーメンができる前にもインスタント麺は存在していた
  4. 現代もおいしく!初代インスタントラーメンのアレンジレシピ3選
  5. 「スペース・ラム」登場。インスタント麺のこれから
  6. まとめ

1.そもそもインスタント麺の定義って?

そもそもインスタント麺の定義は明確に決められているものではありません。

インスタント麺は即席めんともいわれ、1965年にJAS規格(日本農林規格)が定められ、これまで何度か改正がおこなわれてきました。現在JAS規格では次のように定義しています。

(1)主原料を小麦粉、またはそば粉としていること、麺の弾力と粘りを高めるものを加えて製麺していること

(2)(1)にかやくを添付したもの

(3)(1)~(2)のうち調味料を添付したものか、あるいは調味料で味付けしたもの

(4)簡単な調理で食べられるもの

※ただし、かん水を用いず製麺したものは、成分デンプンがアルファー化されているものに限る

「かん水」とはカリウムやナトリウムの炭酸塩とリン酸塩を原料として、そのうち1種類か2種類以上を含むアルカリ塩水溶液です。この「かん水」の効果によってインスタント麺にコシがうまれます。さらにかん水には次のような作用もあります。

● 中華麺特有の味わいを加える

● 麺の風味とスープに調和し、味のまとまりを良くする

● 麺の茹で具合や伸び具合のバランスを良くする

このような規定があるなか、現代のインスタント麺は包装容器や味、麺の種類などがバラエティ豊かで、さまざまな商品が出回っています。最近では、消費者のさまざまなニーズに応えるため、添付調味料やかやくにもこだわりがみられ、さまざまな商品が日々生産されています。

(参照:HTTPS://WWW.INSTANTRAMEN.OR.JP/DICTIONARY/OUTLINE/

2.初代インスタントラーメンはみんなが知ってる『あの商品』

そんなインスタント麺の発祥は大阪府池田市のある家の庭の小さな小屋だといわれています。自宅裏庭に建てた小屋で、お湯さえあれば、家庭ですぐ食べられるラーメンの開発にたったひとりで取り組んだ安藤百福氏。彼こそインスタントラーメンの生みの親であり、現在の日清食品の創業者でもあります。そんな彼の試行錯誤の開発の結果、1958年、ついに今では名前を知らない人はいない、あの有名商品が誕生します。それが『チキンラーメン』です。

1958年に発売開始されたチキンラーメンは1食35円でした。お店で食べるうどんやそばの当時の価格が約30円で、具材がないインスタント麺がほぼ変わらない値段だったにもかかわらず、お湯をかけて2分間がキャッチコピーのチキンラーメンは『魔法のラーメン』と呼ばれ、またたくまに大ヒット商品となりました。

安藤氏の研究開発により、麺を油で揚げることで調理時間が短くなり、また保存もきくことがわかりました。この製法を瞬間油熱乾燥法といい、1963年に「即席ラーメンの製造法」として特許登録され、発明協会発信の戦後日本のイノベーション100選のトップ10にも選ばれています。

(参照:HTTP://KOUEKI.JIII.OR.JP/INNOVATION100/INNOVATION_LIST.PHP?AGE=TOPTEN

また当時、安藤氏は別のブームも引き起こしました。

1960年、森永製菓から「インスタントコーヒー」が発売されたことをきっかけに、「即席(インスタント)ラーメン」のブームと合わせてインスタント時代に入ります。

各地のデパートはインスタント食品大会を催し、ありとあらゆる「インスタントもの」が流行していきます。そしてついに、1960~1961年、インスタントという言葉は最大の流行語となりました。

(参照:HTTPS://WWW.CUPNOODLES-MUSEUM.JP/JA/OSAKA_IKEDA/ABOUT/

3.初代インスタントラーメンができる前にもインスタント麺は存在していた

瞬間油熱乾燥法を用いたインスタントラーメンという点では、チキンラーメンは世界初のインスタント麺といえます。

しかしインスタント麺の定義は明確に定められているものではなく曖昧でもあります。1958年のチキンラーメンが発売される前にも瞬間油熱乾燥法以外でつくられたインスタント麺がすでに存在していました。

チキンラーメンが発売される少し前の1955年、松田産業からインスタント麺にかかすことのできない屈曲麺製法が発明されました。そしてこの技術を使い、味付中華麺が発売されています。しかしこの味付中華麺は従来の乾麺と同じ昔ながらの天日干しで作られており、区別があまりつかず人気が出なかったこともあり、商業的にみると成功とは言えませんでした。しかし、後に改良がなされ、ベビーラーメンというおやつとして販売されました。この商品こそが現代のベビースターラーメンの原点なのです。1933年、松田産業は「おやつカンパニー」へと社名を変えました。現在ではお菓子製造会社として発展しています。

製法・工程の確立や商業的成功では日清食品の『チキンラーメン』がインスタント麺の発祥といわれていますが、その前身となる松田産業の味付中華麺もインスタント麺の発祥に関わっているといえるでしょう。そしていまや、国民的おやつとして生まれ変わり、日清食品とは違う形で長年、人々に愛され続けているなんて驚きです。

4.現代でもすごくおいしい!初代インスタントラーメンのアレンジレシピ3選

「すぐおいしい!すごくおいしい!」のキャッチコピーで知られるチキンラーメン。もちろんそのままでもおいしいですが、シンプルだからこそいろんなアレンジができるのです。ここではそんなチキンラーメンのおいしいアレンジレシピを紹介していきます。

がっつり鶏からねぎチキンラーメン

【材料】

  • チキンラーメン…1袋
  • 鶏のからあげ(お好みの市販品でよい)…3個
  • 長ねぎ…30g
  • ごま油…小さじ1

【作り方】

①鶏のからあげはひとくちサイズに切る。長ねぎをみじん切りにする。

②ボウルに①とごま油をあわせて混ぜる。

③丼に麺を入れ、熱湯400ml(分量外) をかけてフタをして3分おき、②をのせる。

(参照:HTTPS://WWW.CHICKENRAMEN.JP/RECIPE/015/

ミルクチキンラーメン

【材料】

  • チキンラーメン…1袋
  • 牛乳…220ml
  • 黒こしょう…好きなだけ
  • 粉チーズ…好きなだけ

【作り方】

①鍋に牛乳220mlと水220ml(分量外)を入れて沸騰させる。

②チキンラーメンを入れて3分煮込む。

③器に②をうつして、お好みのトッピング(黒コショウや粉チーズなど)をかけて完成。

(参照:HTTPS://WWW.CHICKENRAMEN.JP/RECIPE/006/

ラーメンではなくサラダで!チキラー中華サラダ

【材料】

  • チキンラーメン…1袋
  • 水(ゆでる用)…450ml
  • きゅうり…1/3本
  • カニカマ4本
  • 乾燥わかめ(戻したもの)…20g
  • (A)酢…大さじ1
  • (A)ごま油…大さじ2
  • (A)砂糖…小さじ1
  • (A)白いりごま…小さじ1

【作り方】

(下準備)乾燥わかめを水で戻して、水気を切る。

①鍋にお湯を沸かしチキンラーメンを中火で1分程ゆで、麺はザルにあげて粗熱を取る。

②きゅうりは細切りにし、カニカマは手で割く。

③ボウルに(A)を入れ混ぜたら、①、②、わかめを入れ、混ぜながら全体に味をなじませる。

④皿に盛り付けてできあがり。

(参照:HTTPS://WWW.CHICKENRAMEN.JP/RECIPE/018/

シンプルなチキンラーメンもほんのひと手間でさらにおいしくなることがわかりました。いつもと一味違うチキンラーメンをぜひご賞味ください。

5.「スペース・ラム」登場。インスタント麺のこれから

世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」の父、日清食品創業者の安藤百福氏の新たなる野望。それは「宇宙食ラーメンを作りたい」というものでした。世界初の宇宙食ラーメンプロジェクトチームを立ち上げ、安藤氏自ら陣頭指揮をとって開発が始まりました。そしてついに、さまざまな工夫を凝らして宇宙食ラーメン「スペース・ラム(SPACE RAM)」が完成します。2005年、「スペース・ラム」はスペースシャトル・ディスカバリー号に搭載され、宇宙へと旅立ちました。そして宇宙で人類史上初めてインスタントラーメンを食べたのは野口聡一宇宙飛行士です。彼は国際宇宙ステーションから「地球で食べるインスタントラーメンの味がびっくりするぐらい再現されている」と中継し、インスタントラーメンは未来食としても優れた代物であることが実証されました。そして2020年時点では、日清食品が新たに開発した宇宙食4品が、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 (JAXA))により、宇宙日本食として認証されています。宇宙初インスタントラーメンを2005年に食した野口宇宙飛行士は15年たった今でも、国際宇宙ステーションで宇宙食ラーメンを食べています。

(参照:HTTPS://YOUTU.BE/UNMGP164-OK

また宇宙日本食は宇宙のためだけのものでは決してありません。宇宙食と災害食には多くの類似点があることから、宇宙日本食に認証された食品は、比較的簡単な審査で日本災害食学会が認証する「日本災害食」に認証されることが決まっています。今後、宇宙食ラーメンは宇宙飛行士のためだけの食品ではなく、災害時には地上生活での支えにもなることまちがいなしといえるでしょう。

(参照:HTTPS://HUMANS-IN-SPACE.JAXA.JP/BIZ-LAB/NEWS/DETAIL/001966.HTML

6.まとめ

安藤氏は元祖インスタントラーメンを作っただけでなく、未来的インスタント麺の発祥にも大きな影響を与え、死後もミスターヌードルと世界中から讃えられています。いまや現代人にとってなくてはならない存在のインスタント麺。これから期待の未来食として広がり、さらなる発展が楽しみです。