そば
年越しそばの由来って?意外と知らない年越しそばの意味も紹介!
2022.06.14
年越しそばは日本特有の文化であり古くから親しまれています。
しかし、そばの意味や入っている具材の意味まで説明できる人は少ないのではないでしょうか?
本記事では、年越しそばの由来や意味を紹介します。
「なんで年越しにそばをたべるの?」
「年越しそばに入っている具材にもなにが意味があるの?」
年越しそばについて上記の様な疑問を持ったことはありませんか?日本において最も馴染みがあるといっても過言ではない「年越しそば」。しかし、年越しそばの由来を詳しく説明できるという方は少ないのではないでしょうか?
本記事では、年越しそばの由来や意味年越しそばに入っている具材の意味、地域によって違う年越しそばを紹介します。
1.年越しそばは江戸時代から食べられている
実は、年越しそばは江戸時代から食べられていたと言われています。
そもそも年越しそばとは、
大晦日から元旦にかけて、またその間に行われる行事を「年越し」と呼び、その間に食べるそばの事を呼ぶものです。江戸時代中期頃から、江戸の街では毎月の晦日(月末)にそばを食べるという習慣があり、大晦日に食べるそばは「年取りそば」「晦日そば」と呼ばれていました。
その後、毎月末に食べる風習が少なくなっていき、年末の大晦日に食べる風習のみが残ったために年越しそばと名前が変わっていきました。
また、地域によっては「年取り魚」といい、ぶりや鮭などを食べる風習の地域もあります。
2.年越しそばの意味
年越しそばがどんな理由で始まったのか詳しくは分かっていませんが、以下の様な意味が込められていると言われています。
- 長命の願い
そばは細く長い麺であることにかけて
- 金運の上昇
金銀細工師が散らかった金粉を集めるのに蕎麦がき(麺にする前のそば)を使って板から
- 旧年の厄災を断ち切る
そばが切れやすい麺であることにかけて元々、縁起物としても食べられていたことも年越しそばが住民に浸透していった理由の1つだと言えます。
3.年越しそばは具材にも意味がある
ここまで年越しそばに、複数の意味があることをご紹介してきました。しかし、そばだけでなく入っている具材にも意味が込められているのをご存知でしょうか。ここでは、
- 海老天
- ネギ
- 油あげ
について紹介します。
(1)えび
えびには、長寿祈願、子孫繁栄、夫婦円満などのおめでたい縁起がたくさんあります。
エビは体が曲がっていることや長いひげが生えていることが腰の曲がったお年寄りのイメージ、長寿の象徴となっています。
そして、茹でると殻の色が赤くなるエビは日本において、縁起が良いとされています。活気やエネルギー、子孫繁栄を象徴しています。さらに、エビは脱皮を繰り返す生き物です。その生態は「新たに生まれ変わる」というイメージがあり、成長と発展の象徴とも言われています。
(2)卵
卵は、黄身の黄色が金を連想させるため、商売繁盛の意味が込められています。月見そばが最も知られていますが、卵焼きにして一緒に食べるのも良いでしょう。また、卵を使った縁起の良い食品として伊達巻と一緒に食べるのもおすすめです。伊達巻は、伊達巻特有の巻かれた形が反物をイメージさせることから着るものには不自由しない、「商売繁盛」「子孫繁栄」などの願いが込められています。伊達巻と一緒に蕎麦を食べるのもおすすめです。
(3)油揚げ
油揚げは「五穀豊穣」「商売繁盛」「家内安全」など様々な願いが込められています。油揚げは、稲荷あげ、狐揚げなどとも呼ばれており、神様「稲荷様」の使いである狐の好物とされています。新年の金運や仕事運を上昇させる縁起のよい食べ物であると言われており、具材として入れることをおすすめする食品です。ぜひ、甘辛く煮た油揚げを入れて縁起を担ぎながら美味しい年越し蕎麦を食べてみてください。
4.年越しそばはいつ食べるのが正解?
年越しそばは「年が明ける前に食べる」とされています。
年越しそばには「新年から運を断ち切る」という意味があるため、年が空けてから食べるのは避けた方が良いとされているからです。また、脂質や食物繊維が豊富なそばは消化に悪い食品です。あまりに夜中に食べると消化不良をおこし元旦の朝からお腹を痛めてしまうかもしれません。年を越す前までに食べれば良いので、無理でなければいつもの食事時間か19時から20時程度に食べることをおすすめします。
5. 地域によって違う年越しそば
(1)にしんそば
京都や大阪では、ニシンを入れる年越しそばがよく食べられています。
江戸時代から北海道ではニシンの豊漁が続いていたため、干物のにしんが全国各地に下ろされていました。海のない京都では海産物が重宝されていたため、にしんをつかったにしんそばが名物になり広まっていったのではないかとされています。産地である北海道でもにしんそばは、庶民の味として定着しています。京都は淡い色の薄口だしなのに対し、北海道は薄口醤油を使用した関東風が主流となっています。
(2)越前そば
越前そばは福井県の名物で、大根おろしを乗せて食べるのが一般的なそばです。ぶっかけやつけそばなどの食べ方に関係なく、大根おろしを加えることから地元ではおろしそばと言われています。室町時代中期の越前(福井)当主が飢餓時の食料として推奨したのが、福井でのそば栽培の始まりと言われています。発祥については様々ありますが、江戸時代の藩主が醤油も買えない貧しい領民のためそば切り(麺にする前のそばの生地)に大根おろしをかけることを考案した説が有力です。また、一般的にそばを打つ際はつなぎに小麦粉を使いますが、越前そばでは強力粉をつなぎに使います。冷水にさらしたそばは強い歯ごたえが特徴で、一般的なそばのようにのどごしを楽しむものではなく、噛んで食べるイメージが強く知られています。
(3)へぎそば
へぎそばは「ふのり」を使うそばで、つるっとしたのどごしと弾力のある歯ごたえが魅力の新潟県の名物そばです。「ふのり」とは「布糊」とも書く海藻の1つです。元々、新潟県十日町市では、着物産業が盛んで、着物の糸に保護機能を付加するためにふのりが使われていました。元々、十日町市では小麦粉を栽培しておらず、そばのつなぎに自然薯や、卵などが使われていました。そんな時に新潟県のそば屋さんがつなぎとしてふのりを使ったのがへぎそばの始まりだと言われています。また、へぎそばの「へぎ」は「剥ぎ」が訛ったものと言われています。へぎとは、木を剥いだ板を食台にしたもので、この「へぎ」の上でそばを持った事がへぎそばと言われる由縁です。
(4)釜揚げそば
釜揚げそばとは、茹でたそばを水洗いせずに茹で汁ごと丼に盛る温かいそばのことです。丼にもったそばに、薬味やつゆをかけることで好みの味にしていきます。自分で味の調整ができることや、そばの風味を最大に感じることができるため、そば好きに好まれているそばです。主に、島根県の出雲地方でよく食べられています。昔から新そばの時期には神社の参道に屋台が立ち並び、釜揚げそばが参拝客の舌を楽しませていたようです。また、釜揚げそばは挽きぐるみと呼ばれるそば粉を使うことも特徴の1つです。通常最初に挽いた粉から1番粉、2番粉、3番粉と分けるそば粉ですが、挽きぐるみは全ての粉を使用しています。全ての粉を使用しているため、色や香り、風味がすばらしく噛む度に味わいがあるそばとなっています。
(5)わんこそば
わんこそばは、1口ずつに分けられたそばをわんこ(お椀)に入れて一緒に食べる料理で、岩手県盛岡市や花巻市を中心とする料理です。1口ずつに分けられており食べ続けることを前提としているため、小分けにされた10〜15杯程度で一般的な1人前の分量です。また、めんやつゆにも工夫がされています。麺は、通常の麺よりも長めに切られており、小分けにしやすかったり、通常の麺より長く切られ、喉越しが良くなるようになっています。めんつゆも濃いめに味付けされていますが、小分けにされた麺それぞれがつゆにくぐらされているので、喉越しよくツルッと食べられます。
6. 年越しそばを英語で説明するには?
ここまで年越しそばの歴史や意味をご紹介してきましたが、年越しそばは日本特有の行事です。しかし、グローバル化が進んでいる現代では、海外の方とお会いすることも多くなってきました。なので、例えば海外の方に「どうして大晦日にそばを食べるの?」と外国の方に聞かれたら答えられないことも多いのではないでしょうか?結論からいうと、実は、年越しそばと訳す英単語はありません。これは、日本特有の文化であるからだと考えられます。外国の方に伝えるためには、日本語がそのまま英語に訳されている「sushi」「tempura」の様に日本語をそのまま「tosikoshi soba」と伝えるのが良いでしょう。ただし、そのまま日本語で単語を伝えるだけではわかりにくいと考えられるため英語で補足の説明をすることが必要です。
7. 美味しい年越しそばの作り方
年越しそばの意味や具材の意味が分かったけど、おいしいそばの作り方を知りたいという方もいるのではないでしょうか?
ここからはおすすめの年越しそばレシピをご紹介していきます。誰でも簡単に作れるレシピなので、ぜひ参考にしてみてください。
(1)めんつゆで作る簡単年越しそば
「大晦日でバタバタしていて準備がめんどくさいけど少しでも豪華に見せたい」という方もいるのではないでしょうか?こちらのレシピでは、材料は少なく、それでいて見た目に豪華な年越しそばが作れます。
【具材】(2人分)
- そば 2玉
(A)
- 鶏もも肉 100g
- めんつゆ(3倍濃縮) 100ml
- 水600ml
- 柚子の皮 お好みの量
(B)
- 玉ねぎ 1個
- 人参 1/2本
- 薄力粉(打ち粉用) 大さじ1
- 薄力粉 (衣用)大さじ2
- 片栗粉 大さじ2
- 塩 小さじ¼
- 水 100ml
【作り方】
- 一口大に切った鶏もも肉とAを鍋に入れて、アクを取りながら煮込み汁を作る
- 細切りにした玉ねぎ、薄力粉(打ち粉用)大さじ1をポリ袋に入れて全体に粉をまとわせるように振る
- 薄力粉、片栗粉、塩をボウルに入れ、冷水を数回に分けて流し入れ、ダマにならないように混ぜる
- 3で作った天ぷら駅に2の野菜を入れて、さっくりと全体を混ぜ合わせる
- 油を流し入れた鍋にかき揚げのタネを入れて、焼き色がついたらひっくり返し、反対にも火を通す
- 1で作ったそば出汁にそばとゆず皮を入れてそばに熱が通ったら火を消す
- 器に盛り付ける
8. 年越しそばは日本に伝わる縁起の良い文化
本記事では、年越しそばや入っている具材の意味、ご当地特有の年越しそばについて紹介してきました。年越しそばは、今年一年の区切りと来年一年に期待を込める縁起物と言えます。年越しそばを食べる時は、本記事を思い出して友達や家族に教えてあげてください。