フォー
ベトナムの国民食「フォー」って?こんな歴史があったんだ!を解説
2022.12.15
ベトナムの国民食である「フォー」。エスニック料理の中でも、比較的あっさりしており日本人ウケする癖のないメニュー。今や日本のコンビニで売っていたり、インスタント麺にもなっていますよね。この記事では、フォーって?語源は?フォーってどうやって生まれたの?という疑問について説明します。記事の最後には、都内で食べられるフォーのお店も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
- そもそもフォーって何?
- フォーの語源
- フォーの歴史を解説!
- ベトナムの多様な麺
- 都内でフォーを食べるならココ3選!
- まとめ
1.そもそもフォーって何?
冒頭でも説明しましたが、フォーはベトナムの国民食です。
ベトナムでは、年間3回も米の収穫がされており、世界でも有数の生産量を誇ります。
その米から作られた米粉を練って、きしめんのように平たくした麺がフォーです。
きしめんの様に平たい米麺は、つるつるモチモチした食感が特徴で、本場のベトナムでは路上の屋台でよく食べられています。しかし、最近では外食専門店ができたり、高級ホテルの食事に出るほど生活に深く根付いています。
2.フォーの語源
フォーの語源には、主要な説が3つあります。
1. ベトナム語で「牛肉と米の麺」を意味する「Ngưu Nhục Phấn Đây」が略されてphởになった説。「Ngưu Nhục Phấn Đây」を早口で言う内に「Phấna」または「Phốnơ」と言い崩されて、「phở」と呼ばれるようになったというもの。
2. フランス語で煮物を意味する「ポトフ(pot-au-feu)」の”feu(火)”が訛って”phở”になった説。
3. 広東語の「牛肉粉(Ngàuh yuhk fán)」が略されて「phở」となった説。
ベトナム語説と似ていますが、売り子が「牛肉粉(Ngàuh yuhk fán)」と叫んで売っている内に、「肉粉(Yuhk fán)」から「粉(Fán)」となりました。そして、”n”が無くなって”Fá”となり、それがベトナム語の語呂で似ている「phở」に至ったというもの。
ここで疑問が生まれます。ベトナムの国民食である「フォー」の語源が、なぜフランスと中国に関係しているのでしょうか。
次のフォーの歴史を読めば、その理由がわかるはずです!
3.フォーの歴史を解説!
フォーはどのように生まれたのでしょうか?
ベトナムの北部ハノイ周辺で1900年前後に生まれたといわれていますが、明確なことは未だ解っていません。
フランスや中国など、さまざまな国の料理が混ざっています。
フォーは、牛肉を合わせたフォー・ボーや鶏肉を合わせたフォー・ボーなど数種類存在しています。しかし、基本的には牛骨スープに牛肉を合わせたフォー・ボーのことを指します。
ベトナム料理では牛肉はあまり使用されることがありませんでした。
その理由は、家畜が重要な労働資源だったからです。
ところが、1887年にフランスがベトナム全土を植民地にしたため、フランス人たちが流入しました。フランス人は、母国で牛肉のステーキを食べる習慣があったので、同じようにベトナムの地でも食事にステーキを取り入れていました。
これによって、フランス人が食べ残した牛骨や肉ガラがたくさん出てしまいました。ベトナム人は、普段から牛を食べないので処理に困りました。ですが、当時庶民の間で食べられていた水牛を使った麺のスープがありました。その水牛の具を牛に置き換え、さらに麺を春雨から米麺に変更して屋台で提供したようです。この料理がフォーの原型となり、「サオ・ボー」と呼ばれるようになりました。
一方、これも諸説あり、
ハノイ南東のナムディンというところでは、昔から牛肉麺を食べていたという説もあります。
中国の雲南には、牛肉麺に似た麺料理があり、雲南の労働者のなかで人気でした。その後、ベトナム人労働者が雲南人の真似をして食べるようになったそうです。
その後、ベトナム北部のハノイに牛肉麺を提供する店がオープンし話題になりました。1930年には、ハノイの街の至る所で牛肉麺が広まり、ハノイの人気料理になっています。
もともとは、米麺と煮込んだ牛肉をいれたシンプルなフォーが、それぞれの土地の味になっていき進化していきます。
1930年頃には、野菜と牛肉を炒めてのせたフォーが登場し、人気を得ました。そして、1939年頃には鶏のフォーである「フォー・ガー」が現れます。牛肉の需要が高まり、代替として使われたのが鶏でした。牛とは違う味でしたが、人々の間でも美味しいと評判で徐々に広がっていきました。
第一次インドシナ戦争の終戦協定であるジュネーブ協定によって、1945年にベトナムはフランスから独立しました。その当時、人々は貧しい北部から豊かな南部へ逃げていきました。豊富な食材がある南部では、さまざまな食材をふんだんに使用することができ、発酵した豆のペーストをいれたり、バジルなどのハーブといった香りの強いフレーバーを足していき、南部独特の香りの際立ったフォーが出来上がりました。
しかし、北部の人々からすると、南部の過剰な香りがついているフォーは受け入れられず、シンプルさを追求したものが本場ハノイのフォーとして定着しています。
そのため、フォーの「南部VS北部」が現在でも継続されているようです。
一方、戦争が続く北部では困窮に陥っていました。
政府は米の利用を制限したため米麺は作られず、代わりとしてジャガイモの澱粉を含んだ代用品でフォーが作られていました。
戦争中は、ハノイのフォーと中国から配給された揚げパンが提供されていました。今や、ハノイの定番となっているフォーと揚げパンを一緒に出すのは、この時から始まっているようです。
その後、戦争が終わりを迎え自由な経済活動が認められるようになったため、フォーの味の発展につながりました。ハノイの方では、伝統的なフォーを出す店や、揚げフォーやフォー・サラダといった新しいフォーが作られ、ホーチミン(旧南ベトナム)でも、カラフルなフォーが楽しめたりと進化しています。
ベトナムの定番料理といえるフォーですが、完成するまでには歴史的な背景があり、とても興味深いです。国民食になるまでには、とても長い道のりでした。
そして、ひとつ前のテーマ「2.フォーの語源」にも納得できたのではないでしょうか。
4.ベトナムの多様な麺
フォーを学んだところで、フォー以外のベトナムの麺類を紹介します!
みなさんはいくつ知っていますか?
①ブン
中国が発祥とされており、溶かした米粉を器に入れ、ところてんのように押し出してつくる麺です。いわゆるビーフンです。中国語では米粉を書き、広東料理でよく使用される麺類の一種です。
ベトナムでは、北部ハノイを中心に人気があります。豚肉の入った甘酸っぱいつけ汁につけて食べる「ブン・チャ」や、豚ベースのスープに数多くの練り物を合わせた「ブン・モック」などが有名です。
②フーティウ
フーティウは、ベトナム南部のホーチミンを中心に人気のある麺です。フォーと似ていますが、フォーは半生で販売されるのに対し、フーティウは乾燥したものを束で販売しているのが特徴です。また、フォーよりも太くコシが強い麺です。
フーティウも発祥は中国南部で、戦争があった時代は「貧乏人が食べるもの」とされていましたが、南北統一後に一気に価格が高騰し南部ベトナムに逃げてきた他国の難民たちからの需要が高まったことで、ホーチミン名物となりました。
③バインカン
バインカンは、タピオカ粉を使った麺です。バインカンは直訳すると、「ケーキ・スープ」という意味になります。麺をつくるときにタピオカ粉を混ぜた塊を、ケーキを切るように切って、麺にしていたことから名付けられました。モチモチとした弾力があります。
他にも、中華麺のような「ミー」、ホイアン名物「カオラウ」など、紹介しきれないほど地方ごとに違った材料を使った麺が数多くあります。
5.都内でフォーを食べるならココ3選!
①ハノイの人気店が海外初上陸!「フォーティン トーキョー」(池袋)
2022年に食べログ百名店にも選ばれているフォー専門店。お店に入ると、まずは自動券売機でメニューを選びます。ちなみにメニューは牛肉麺のみで大盛り・パクチーの有無を選択します。トッピング追加もできます。つるつるした麺で野菜と牛肉がたっぷり入っています。卓上には調味料が4種類。「自分だけのオリジナルのフォーをお楽しみください!」と書いてあります。自分にぴったりのフォーを探してみてはいかがですか。
②フォーと紅茶のお店「フォーナムナム」(浅草橋)
同じ建物の1階にはタイ料理屋さんがあり、その2階はフォーナムナム。壁にはフランスの有名な紅茶がずらりと並んでいます。メニューには、牛肉のフォーも鶏肉のフォーもあります。ランチセットのジャスミンライスが美味しいと評判が高いです。味変のシラチャーソースや魚醤も置いてあります。そして、なんとここにはアルコールも置いています。ベトナムのビールを飲みながらフォーを食べたいですね。
③独創的なお店「Pho 321 Noodle bar」(北参道)
店名が描かれたネオンの看板がかわいいお店です。無添加のフォーを使用しており、鹿児島県産の銘柄鶏を使用したフォーが看板メニュー。こちらも卓上に調味料がたくさん置いてあります。また、現在はテイクアウトも行っており、バインミーやデリも楽しめます。
6.まとめ
いかがでしたか。フォーの歴史的背景やベトナムのさまざまな麺の種類、そしてフォーが食べられる美味しいお店を紹介しました。
フォーにこんな歴史があったとはびっくりですね。たまに食べたくなるエスニック料理。まずは癖の少ないフォーから挑戦してみてはいかがでしょうか?最後まで読んでくださり、ありがとうございました。